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スティーブ・ジョブズ 伝説のスピーチ

2011.10.6

アップル社スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学の卒業式における卒業生に贈る伝説のスピーチ。歴史上最も偉大なイノベータ一の1人であり、膵臓がん体験者でもあるスティーブ・ジョブズ氏の訃報に哀悼の意を表してキャンサーチャンネルにこの動画を掲載します。
字幕キャプションは【CC】から英語­と日本語から選べます(和訳:小野晃司)。

 

このスピーチでは、スティーブ・ジョブスは3つのテーマ、すなわち「点をつなぐ話」、「愛と喪失の話」、そして「死に関する話」を取り上げています。以下に、「死に関する話」の日本語訳を紹介します。

 

3つ目は死に関するお話です。

 

私が17歳の頃、このような引用文を読んだ事がありました:「今日が最後の日であるかのように毎日を過ごすということ– 間違いなく、それがいつかは正しいと思うでしょう。」 この文は私に強く印象付け、そしてそれ以来33年間、毎朝鏡を見て自分に尋ねました:「もし今日が私の人生最後の日であったら、今日やろうと思っている事をあなたはしたいと思いますか?」そして、「いいえ」という答えがあまりにも何日も続いた時は、何かを変える必要があると分かるのです。

 

もうすぐ死んでしまうと言う事を思い出す事が、人生で大きな選択をする際に役立つ、今までに出会った最も重要なツールです。なぜなら、ほとんど全て-全ての外部からの期待、全てのプライド、恥じらいや失敗への恐怖全て、-これらは死を直面すると単に離れて行き、本当に大切なものだけが残るのです。死んでしまうだろうと言う事を思い出す事が、「何かを失ってしまうと思う気持ち」と言う罠を回避する、私が知っている最も効果的な方法であります。あなたは既に裸なのです。心に従わない理由はありません。

 

約1年前、私は癌であると診断されました。朝7:30にスキャンを受け、膵臓に腫瘍がはっきりと写っていました。私は膵臓が何かも知りませんでした。この種の癌は九分九厘治療不能で、余命は3ヶ月から半年と医者から宣告されました。医者は家に帰り身辺を整理する事を勧めました。これは死ぬ準備を意味する医者の暗号です。それは、今後10年間で子供達に伝えようと思っていた事全て、たった数ヶ月で伝えなさいと言う事を意味しています。それは、家族ができるだけラクになるよう、全てをしっかりと整理する事を意味しています。それはさようならを言う事を意味しています。

 

私は一日中その診断を抱え生活しました。その日の夕方遅く、私は生検を行い、内視鏡を喉から差し入れ、胃や腸を通り、膵臓に針を刺し腫瘍から少量の細胞を採取しました。私は落ち着いていたが、医者が顕微鏡の下でその細胞を見た時、手術で治療できる珍しい型の膵臓癌であると判明した為、彼らは大声で叫び始めたと、そこにいた妻は教えてくれました。手術をし、今では大丈夫です。

 

この時が今までで一番近くで死に直面し、ここ数十年でもそうであると願っています。死が便利だが単なる知的概念だった時よりも、これを乗り越えた今だからこそ、より確信を持って皆さんにそう言えます。

 

誰も死にたくはありません。天国へ行きたいと願う人ですら、そこへ行くまでに死を経験したいとは思いません。それにもかかわらず、死とは、私達皆が共有する最終目的地であります。誰一人と回避できた人はいません。そして、そうあるべきなのです。何故なら、恐らく死とは生命において唯一の最高の発明であるからです。それは生命の変化推進者です。新しいものの進路を作る為、古いものを一掃します。現在では新しいものとはあなたですが、今からそれほど遠くないいつの日か、次第に古いものとなり、一掃されます。劇的になりすぎて申し訳ないですが、全くの真実です。

 

あなたの時間は限られているのだから、他人の人生を生きるなどして無駄にしてはいけません。定説に捕らわれてはいけません-それは他人の考えた結果で生きる事です。他人の意見と言うノイズで自分の心の声をかき消させてはいけません。そして、最も大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つ事です。それらは、あなたが本当は何をしたいかをどういうわけか既にわかっているのです。その他全ての事は二の次です。

 

私が若かった頃、「全世界のカタログ(The Whole Earth Catalog)」と言う素晴らしい出版物があり、私の世代では権威ある書物の一つでした。それは、ここからさほど遠くないMenlo ParkでStewart Brandと言う男性によって作られ、詩的な手法で生み出されました。パソコンやデスクトップ・パブリッシングの出現以前の1960年代後半の事だった為、全てはタイプライター、はさみとポラロイドカメラで作られました。35年前Googleが出現する前の、いわばGoogleのペーパーバック版のようなものです:それは理想主義的で巧妙なツールや素晴らしい発想であふれていました。

 

Stewartと彼のチームは「全世界カタログ」を何号か発行し、自然な経過をたどり最終号を発行しました。それは1970年代中旬、私はあなた達と同い年でした。最終号の裏表紙に早朝の田舎道の写真が載ってあり、もしあなたが冒険心のある方であれば、そこでヒッチハイクをしている自分が想像できるでしょう。その写真の横にはこんなフレーズが書かれていました:「Stay hungry, Stay foolish(ハングリー精神を持ち続けろ。バカなままでいろ。)」それは出版終了時の別れのメッセージでした。ハングリー精神を持ち続けろ。バカなままでいろ。そして、私は常に自分にそうある様、願っていました。そして今、あなた達は再び一から始める為に卒業する中、私はこう皆さんに願います。

 

「Stay hungry, Stay foolish(ハングリー精神を持ち続けろ。バカなままでいろ。) 」

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