【Japan Cancer Forum 2021】皮膚がん

2021.9.27

【一般社団法人 日本皮膚悪性腫瘍学会共催】
皮膚がん

演者:山崎 直也(国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 科長)
司会:杉本 香苗(メラノーマ患者会「OverTheRainbow」 代表)

概要:一口に皮膚がんと言っても表皮、真皮の細胞や皮膚付属器から発生するものなど種類が多く、一つ一つが希少がんと呼ばれます。
今回は三大皮膚がんである基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫はもちろん、情報が少ないと言われる乳房外パジェット病やメルケル細胞がんについても最善の治療を受けるために役立つ情報を伝えたいと思います。

☆☆当日お寄せいただいたご質問にご回答できなかったものについて、山崎先生のご厚意により文章でご回答いただきました☆☆


 

Q. アジュバントが承認される以前、インターフェロンも否定された過渡期に手術以外無治療の経過観察者とDAV-feron治療者の病状進行についての比較を教えてください。

A. 2018年に3つの術後アジュバント療法が国際的な治験を通じて有効であることが証明され、日本でも使われるようになりました。
「有効であることの証明」を『エビデンス』と言います。
2018年以前はDAV-Feron療法にしろ、インターフェロン療法にしろ、このエビデンスというものがないけれども、再発が心配で使える薬を今のうちに使えるものは何でも念のため使っておこうという発想で手術後に使われていました。
このように心配だから使っておこうという方法はメラノーマだけでなく、たくさんのがんでも使われていました。どのがんの治療医も手術以外無治療で経過をみるよりは少しはいいであろうと考えていました。
ですが、検証してみると、いくつものがんで行っても行わなくても変わらないことが分かり、副作用だけ出てしまうことも多く見られました。中には術後に抗がん剤を使った方が無治療で経過観察をした人よりも再発が多いという結果の出るがんもありました。
ですから、インターフェロンは否定されたわけではなく、再発予防効果が証明されないまま使われていて、DAV-Feron療法も同じです。
日本にはステージⅡやⅢの患者さんで術後無治療の人は非常に少ない時代が続いていて、そこから2018年の結果によって突然エビデンスに基づいた治療法が導入されたということになります。
つまり2018年以前は術後無治療でいいのか、DAV-Feron療法を使った方がいいのか、インターフェロンを使った方がいいのか正確に比較できないまま使われていました。

 

Q. 今、術後の化学療法の副作用のことで、治療に踏み切れないでいます。この状態でいいのでしょうか?

A. がん薬物療法には多かれ少なかれ必ず副作用があると考えていただいて良いと思っています。副作用があるとしても再発予防効果の方を重要視した場合、つまり「リスク アンド ベネフィット」という言葉がありますが、「ベネフィット=患者さんの利益」が大きいと考えれる場合、行うことをおすすめします。
ただし、このことは現在のコロナウイルスに対してワクチンを打つか打たないかという議論と似ています。多くの人がワクチンの効果を期待して注射を受ける一方で、自分にとっては副作用(副反応)で苦しむ方が怖いと考える人はワクチンを打たないでいます。
繰り返しになりますが、自分にとって「リスク アンド ベネフィット」のどちらを優先するかです。

 

Q. メラノーマのワクチンについて教えてください。これは予防ではなく治療薬なのでしょうか。

A. メラノーマのワクチン療法は自分の抵抗力を上げる免疫療法のひとつです。主に予防ではなく治療薬として開発されていますが、完成はしておりません。

 

開催日:2021年8月21日(土)~22日(日)
場所:オンライン開催
主催:認定NPO法人キャンサーネットジャパン
後援:厚生労働省、東京都

【ジャパンキャンサーフォーラム】
https://www.japancancerforum.jp

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  • このコンテンツに含まれる医療情報は、一般論であり、すべての人にあてはまるというものではありません。治療方針・方法などに関する判断については、主治医にご相談ください。
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